こんにちは。大崎シティデンタルクリニック、歯科医師の山口です。

前回は歯科検診での歯周病についてのチェックポイントをお伝えしましたが、今回は力・咬合についてどのような診査を行っているのかお伝えしたいと思います。

口腔内所見

咬耗

歯のエナメル質は人体の中で最も硬く、モース硬度7とされています。それでも継続的に強い力がかかっている歯には噛み合わせの面にすり減りがみられ、これを咬耗と呼びます。

アブフラクション

継続的に強い力がかかっている歯では、その根元の柔らかい部位が剥離することがあります。これをアブフラクションと呼び、知覚過敏の一因となります。更に進行するとくさび状に欠損することになり、WSDと呼ばれる病態になります。

骨隆起

歯は骨が支えています。継続的に強い力を受けている歯では、それを支える骨に反応性の肥厚が起こり、もこもことした盛り上がりとして見られることがあります。これを骨隆起と呼びます。歯茎周囲や、下顎では舌側、上顎の中央部に多く見られます。

頬粘膜・舌の圧痕

恒常的に歯に力がかかっている場合、頬粘膜や舌の横側などに波様の形態がみられることがあります。歯の脇腹の形態が転写されているもので、歯の負担が強いことの判断材料にされます。

クラック

継続的に強い力のかかっている歯、あるいは事故的に強い衝撃を受けた歯にはクラック(ヒビ)が入ることがあります。多くの場合無症状で経過しますが、ケースによっては強い痛みを伴ったり、抜歯につながってしまうこともあります。

フレミタス

強い力によりダメージを受けている歯は、咬合時に動揺が見られることがあります。これをフレミタスと呼び、触診でチェックします。

ガイド

前歯(特に犬歯)の重要な役目の一つは、奥歯の負担を軽減することです。横や前に歯をずらしていった時、奥歯を離解させます。その機能(ガイド)が正常に働いているかチェックします。

 

レントゲン所見

歯槽硬線の肥厚・歯根膜腔の拡大

歯は繊維性の組織を挟んで骨が支えています。強い力のかかっている歯は揺さぶられる結果、骨が離れ気味になったり(歯根膜腔の拡大)、反応性の硬化像がみられたり(歯槽硬線の肥厚)します。

垂直性骨吸収

強い力のかかっている歯では、その力がかかる方向に限局した骨吸収像が見られることがあります。

下顎角の張り

下顎骨のいわゆるエラと呼ばれる部位(下顎角)には大きな噛む筋肉がついています。下顎角が発達している場合、咬合力も強いことが予想されます。

 

口腔内は一見安定しているようで、実は経時的な変化が生じています。そのためレントゲンを含めた定期的な検診が大事になります。

力が原因で障害がみられるときには、その原因に応じて矯正治療やマウスピースの作製などを提案致します。

皆様の口腔健康の一助となれば幸いです。

大崎シティデンタルクリニック  山口