こんにちは。毎週火曜日に診療しております非常勤歯科医師の木村と申します。普段は某大学歯科病院に勤務しております。大学病院では画像診断(いわゆるレントゲン,正式にはエックス線写真の診断,CTやMRI,超音検査も含む)を専門としております。当院では,一般的な歯科診療の他に口腔外科的な診療にも携わっております。お口の中(口腔粘膜および粘膜下内),顎骨の中やその周囲には多様な疾患が生じます。大学には一般の開業歯科医院や医院などから様々な患者様が送られてきます。30年以上に渡る大学病院勤務の中で開業歯科医師の方々では経験出来ないような診断や治療を多く経験しております。その経験から患者様に有用と思われるような内容を厳選し,分かり易い説明を交えて患者様の口腔疾患への理解の一助となるような情報を御提供していこうと考えています。
 さて,1回目である今回はこんな病態をお見せしましょう。

これは舌の上面(舌背といいます)に出来た白色病変です。口腔粘膜は角化という現象が起きる特徴があり,肉眼的には白色を呈します。痛みを生じることはないので放置される傾向にありますが,この病態で気を付けて頂きたいのが“白板症”との違いです。白板症は前癌病変とされるもので,その区別(鑑別)には精査(病理検査)を要します。もし,このような病態が生じたら長く放置しないで大学病院などの口腔外科への受診をお勧めします。